その頃、日本は平安時代で藤原氏が隆盛を極め、紫式部が「源氏物語」を書いた。
そうした時代に生きた人々の中に1000年先のことを考えた人がいただろうか。
今の時代だって、5年先か10年先、よくいって100年先の予測がいいところである。
しかし地球や宇宙の歴史からすれば100年も一瞬にしか過ぎないほどの時間で、
1000年や10000年という単位で見ないと物語を描くことができない。
宮崎県都城市に特定非営利活動法人「どんぐり1000年の森をつくる会」がある。
平成8年から活動が始まっているので、18年ほどの実績がある。
その実績の一つが、どんぐり1000年の森をつくるための植樹作業である。
1年目は2000本、2年目は1000本、3年目は2000本、4年目は7500本
という具合に都城市および周辺町内の国有林に植樹を行ってきた。
植樹の数が多かったり少なかったりするのは、
「できる人が できるときに できることを」行う方式で、
ドングリを拾い、種をまき、苗を育て、山に植えているからである。
この16年間で144,400本、面積にして58,8haにもひろがった。
最初に植えたドングリの木は5~6mに成長し、美しい緑をなしている。
ドングリを植えたことで、森の沢筋には水がチョロチョロと流れて、
照葉樹の森が再生したのである。
この会の前会長鳥集忠男さんは南九州独特の杉だけで作った箱三味線・
ゴッタンの名奏者であり、民俗芸能研究家としても活躍された。
鳥集さんは2002年に亡くなられたが、
「すべての生命の原点は山であり、山から流れ出す水である」と提唱し、
この地道な活動を地域の人とともに進めてこられた。
「できる人が できるときに できることを」と決して押し付けることのない
やさしさの中から、山や水への限りない愛情がわいてくるのかもしれない。
http://www.donguri1000nen.jp/aboutus/index.html
どんぐり1000年の森をつくる会
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