「地方の時代」という言葉はなつかしい。というか、手垢がつきすぎた。 中央VS地方の図式で見られ、ほとんどが地方の負け。 あまり負け続きじゃあ面白くないだろうと、 地方創生などといったおまじないの言葉で政府が地方をなぐさめる。 でも、そんなものはどこ吹く風で、がんばっている人たちがいる。 ないならないで、知恵を出す。知恵がなければ汗を流す。 ちょっと気になる地方をウォッチしてみたいと思う。
2015年10月27日火曜日
クモの糸
芥川龍之介の小説に「蜘蛛の糸」という作品がある。
地獄に落ちたカンダタという罪人がかつて蜘蛛を助けたということで、
お釈迦様は地獄から逃れることのできる細い蜘蛛の糸を垂らしてくれる。
これ幸いとばかりカンダタは蜘蛛の糸にしがみついて必死で登る。
ふと下を見ると、たくさんの罪人たちが後から後から登ってくるではないか
自分一人でも切れそうなのに、あれだけ多くの者がぶら下がれば…
カンダタが登ってくる罪人を一喝した時に糸が切れるというお話しだ。
山形県鶴岡市の鶴岡工業高等専門学校はベンチャー企業スパイパーと
提携して今年度から「先進素材講座」を開講している。
スパイパーは合成クモの糸の研究開発で知られていて、
鶴岡高専と組むことで合成クモの糸の実用化が加速できる。
一方、高専側も即戦力となる研究者や技術者の育成へ向けての
実践的な教育ができるというメリットがある。
ふつうこうした産学連携の際、企業側は機密情報の漏えいを恐れて、
外部からの研究員には機密情報に触れさせないことが多いという。
先に記した芥川の蜘蛛の糸は、蜘蛛の糸という機密情報を
カンダタが独り占めしようとしたために招いた悲劇と捉えられる。
スパイパーはあえてオープンにすることで、極楽まで登ってくる
学生を歓迎しようというスタンスなのである。
http://www.yomiuri.co.jp/local/yamagata/news/20151015-OYTNT50292.html
合成クモ糸 企業と連携…鶴岡高専
2015年10月26日月曜日
フジタの秋田
平野政吉は秋田の大富豪であり、藤田嗣治の絵のコレクションで有名である。
中でも縦365㌢、横2050㌢の大きさがある大壁画「秋田の行事」は、
平野と藤田が構想した美術館を壁画で飾るために描かれた大作である。
昭和初期の秋田の人々の暮らし、年中行事や祭りなどが大迫力で描かれていて、
当時は世界一の大きさと言われた。
その「秋田の行事」をジャズ演奏とダンスで表現するコンサートが、
先日秋田市の日吉八幡神社境内で行われた。
「まぼろしに舞う」と題されたコンサートでは、プロのジャズダンサーが、
藤田の想いをダンスによって表現していった。
季節は秋、まさに芸術の秋でいろんなことろでアートの花が咲いている。
芸術とか文化はお金になりにくいと地域おこしなどでは敬遠されがちだが、
芸術のもつ素晴らしさをいかに伝えていくかという方法論は、
もっと真剣に議論されていいのかもしれない。
http://ameblo.jp/yoshitakasuzuki/entry-12084993808.html
まぼろしに舞う
2015年10月23日金曜日
NINJA
昭和40年代に、どういうわけか中学校にNINJAがやって来た。
小柄ですばしっこくという風貌ではなかったが、ややお腹の出たNINJAは
合気道みたいに気合で生徒をなぎ倒したり、記憶力の凄さを披露した。
当時はチャンバラ映画や忍者もののテレビドラマも人気で、
学校へふらりとやって来た中年のNINJAは子どもたちのヒーローになった。
そのNINJAは外国人にすこぶる人気が高い。
真田十勇士のメンバーとされる猿飛佐助ゆかりの長野県上田市では、
市長が忍者の衣装に身を包んで「日本忍者協議会」の記者発表会に出現。
応援団の歌舞伎俳優市川海老蔵さんもあいさつにかけつけた。
協議会では2020年の東京オリンピックを見据え、
伊賀もの、甲賀もの、戸隠流忍者などオールジャパンで忍者を発信し、
外国人観光客の取り込みを図っていこうと画策中である。
どんな忍法で外国人を取り込むのかお手並み拝見というところか。
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagano/news/20151009-OYTNT50440.html
「NINJA」で外国人誘客
2015年10月22日木曜日
それもまたご愛嬌
世の中に自分一人しか生きていないとすると、マナーも道徳もなく
勝手し放題でも咎める人はいない。
家族、集落、村、国と所属する組織が大きくなると、
守らざるをえないものがどんどん増えてくる。
映画館やコンサートホールなどへ赤ちゃん連れで行ってはいけない
という法律はないのだが、泣き出した時の周囲の目線を考えれば
自粛してしまう。
そこで立川市のママたちは、赤ちゃん連れ映画会を企画した。
上映会は平成14年4月2日以降に生まれた子どもと保護者が対象で、
赤ちゃんが途中で泣き出してもお互いさま、それもまたご愛嬌と寛容。
会場には、授乳スペースやベビーカー置き場なども用意される。
さらに、映画を見て終わりではなく、鑑賞後の交流会が予定されていて、
赤ちゃんをもつお母さんたちのつながりをつくっていくとか。
http://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20151007-OYTNT50334.html
泣いても「お互いさま」 赤ちゃん連れ映画会
2015年10月21日水曜日
看板犬
お店の看板娘、というのはよく耳にするが、看板犬というのは面白い。
秋田県が秋田犬を県の看板犬として世界に発信しようとしている。
たしかに秋田犬は精悍で、風格があり、忠犬ハチのように
主人に忠実なのが万人受けする。
秋田ケーブルテレビは今月、社員として2頭の秋田犬を採用した。
オスの「し~な だいすけ」とメスの「し~な さくら」である。
2頭は社員であるから週5日出社して同局のイベントやユーチューブの
動画番組に出演する。
このように秋田犬を看板犬として活用する動きは今に始まったことではなく、
田沢湖畔のレストランではゴン、ハチ、ナナの3頭がお客様をお迎えしている。
また大館市の「アートNPOゼロダテ」では2014年から、
秋田犬ののが広報室長としてまちの顔になっている。
人犬一体となった地域おこしが、ワンだふるな結果となりますように!
http://akita.keizai.biz/headline/2327/
秋田のケーブル局に「秋田犬」入社
2015年10月20日火曜日
砂防遺産
産業遺産とか記録遺産とか、後世に遺したいものが脚光を浴びている。
要は遺構や記録の中から何を学び、どう活かしていくかであるが、
世の中にはいろいろな遺産があることに気づかされる。
「砂防遺産」という言葉を目にした。
長野県松本市の鉢伏山には石積みの水路や堰堤など西洋の技術を取り入れた
土砂災害を防ぐための治山事業の遺構などが数多く残っている。
そうした地域の歴史を見直し、先人の志と技術を知ってほしいということで、
地元有志でつくる「牛伏鉢伏友の会」を中心に活動が続けられている。
明治政府は1885(明治18)年、鉢伏山全体を改造する大事業に着手し、
全長8,3キロの石積み水路や170基以上の堰堤を築き、92万本の木を植えた。
かつては草木が生えない荒涼とした傾斜地で山崩れなども起こったそうだが、
その事業のおかげで、今日まで土砂災害などは起こっていないとか。
製鉄とか炭坑とかに比べると治山治水事業は地味ではあるが、
自然災害から人命や土地財産を守ってきたという役割は大きい。
http://mainichi.jp/area/nagano/news/20151007ddlk20040014000c.html
松本 牛伏鉢伏友の会 「砂防遺産」楽しもう
2015年10月19日月曜日
風景を身にまとう
先日、熊本県阿蘇の「草泊まり」について紹介したが、もう一つ阿蘇ネタを。
阿蘇山を中心に外輪山が取り巻き、草千里などの広大な草原があり、
阿蘇は九州屈指の景勝地である。
この雄大な景色を身にまとうというコンセプトはなかなかステキである。
では何を行うのかというと阿蘇の風景をあしらった服に身を包んで、
田んぼに設けたランウエーを歩くというファッションショーだ。
阿蘇の草花をあしらったドレスだったり、野焼きや牛の放牧風景などを
プリントしたTシャツを披露したり、開放感たっぷりの企画。
企画したのは全国の女性農業者でつくるNPO法人「田舎のヒロインズ」。
見慣れた風景を身にまとって、地域の美しさを再認識できたといった
コメントもあったが、ファッションは風景の一部であり、
風景もファッションの一部になるという発見がおもしろい。
https://kumanichi.com/news/local/main/20151011001.xhtml
「阿蘇」を着る…田んぼでファッションショー
2015年10月16日金曜日
いす-G1グランプリ
ふだん仕事でお世話になっている事務用の椅子をレーシングカーにして、
1周115メートルのコースを周回する。
1チーム3人の選手が交代しながら1時間走り、
周回数を競うのが島根県松江市で開催される「いす-G1グランプリ」だ。
エンジンは人力だから、時間とともにレーサーの顔から汗が噴き出す。
なかには、バランスを崩してコースアウトするチームも。
このいす-G1グランプリは、もともと京都府の京田辺市が2010年に
地域の商店活性化のために始め、これまで20ヶ所で開催されている。
ユニークな競技で、企業や団体の親睦や交流目的に始めるのもいい。
ちなみに優勝したチームは岡山県の倉敷市からエントリーし、
記録は93周であった。
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=555320004
ガラガラ音立て激走
2015年10月14日水曜日
草枕で草泊まり
布団に寝るのもいいが、アウトドアでは満天の星を眺めなら寝るのもいい。
シュラーフか毛布にくるまって星と語る時間は最高である。
阿蘇市の内牧小の子どもたち46人が、阿蘇の外輪山の草原で宿泊した。
それも、カヤでつくった昔ながらの簡易テント「草泊まり」で寝た。
草泊まりは冬支度のために草を刈る際に宿泊する簡易テントで、
昔の人は連泊して草を刈ったそうだ。
カヤでざっとつくってあるので、中はそんなに暖かくない。
平地よりも寒い阿蘇の山中なので、寒さで眠れなかった子もいたとか。
言葉や写真だけではわからない世界がある。
体験することで、諸々が体感でき、それが知恵となり力となる。
http://www.aso-sougen.com/teaching/03/05/03.html
阿蘇の草原ハンドブック
2015年10月13日火曜日
新入社員の新ミソ
ごはんにお漬物にお味噌汁というのが、日本の朝食の定番であるが、
今もって定番なのか、わからない。
お味噌汁という伝統の和風スープは、具材もさることながら、
どんな味噌を使うかによって地域や個々の家庭の味が生み出される。
お味噌メーカー大手のマルコメでは、「ルーキーズプロジェクト」を
始動させた。
来春採用の新入社員に新商品の開発から販売までを担わせるのが、
同プロジェクトで、狙いは新しい発想の収集と、
新入社員だって重要なタスクを遂行できるという企業風土のPPである。
入社後に新商品のアイデア出しと検討、試食品づくり、試食会、
商談会を経て市場への投入となる。
新ミソが、アジにうるさい主婦層の心をとらえることができるか?
http://www.marukome.co.jp/
マルコメ
2015年10月9日金曜日
折りたたみ式白杖
健常者が目隠しをして白杖一本で街を歩くとなると、かなり怖い。
視覚に障害がある方にとって白杖は、まさに目の代わりである。
便利な白杖だが、誤って落として踏まれてしまったり、
失くしてしまったりということも多々あるみたいだ。
そこで、予備用としてコンパクトな杖ができないものかと、
千葉県匝瑳市の鍼灸師の方が画期的な折りたたみ式のものを考えた。
ポリエチレン製で、ふだんはポケットティッシュほどの大きさだ。
使う時はストローで息を吹き込んでふくらませると、
直径5センチ、長さ140センチの風船状の杖に変身する。
重さもわずか28グラムで、持ち運びに便利だ。
風船状なので弾力があって折れにくいというのもメリットだ。
価格も2本で1000円と安く、購入者からは持ち運びに便利、
旅行に持って行きたいといった声が寄せられ人気も上々である。
使う人の目線で開発しないと、コンセプトは見えてこない。
http://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/news/20150928-OYTNT50417.html
折りたたみ式の白杖
2015年10月8日木曜日
キモかわいいこけし
こけし人形は日本全国にあるが、売り上げの推移はどんなものだろう。
ゆるキャラはじめいろんなお土産グッズが出てきている中で、
昔からのお土産として手堅い人気があるのだろうか?
宮城県の仙台空港の売店でもこけし人形が売られているが、
そこに「こけし飛行機」という新しいアイテムが登場しそうだ。
こけし飛行機…木製の飛行機と思いがちだが、
機首のところにはこけし人形の顔があり、なんとなく不気味である。
まあ、こけし人形を飛行機の形にしたというのがわかりやすい。
最先端技術の粋を集めた飛行機が、昔ながらの伝統芸である
こけしになっているというアナクロ感が奇抜である。
ネットで話題になり、宮城県知事が作って売ったらどうかと声をかけた。
遠苅田など宮城県内のこけしの産地では、それぞれの流儀にのっとり
作ってみようということになり、そろそろテイクオフしそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1509/09/news127.html
こけし飛行機
2015年10月7日水曜日
おいしい病院食
病院食と聞くと、塩分やカロリー計算はされているが美味しくない
というのが一般的なイメージである。
症状によって、どうしても食事制限がかけられている患者さんもいて、
味覚の方までは手がまわらないというところなのだろうか。
そこで、山形県の県立米沢栄養大学と県立病院が共同で考案した
オリジナルの病院食がこのたび入院患者へ初めて提供された。
栄養大学の学生は今年3月からメニュー作りに取り組み、
何度も試作を行いながら今回の提供となった。
当日は県産豚とパプリカやナスなどの野菜を油を使わずに調理した
「県産豚の温しゃぶ」など5品で、見た目や味つけで好意的な意見が出た。
栄養価はもちろん見た目や味にこだわると、
材料のコストや調理時間などに関してルーズになることが多い。
満足度というモノサシは、どんな世界にあってもむずかしい。
https://www.kango-roo.com/sn/a/view/461
日本一美味しい病院ごはん
2015年10月5日月曜日
モトコー3番街
神戸、しかも元町ときけば、オッシャレーというイメージがある。
ところが、オシャレな店が競うように60店ほど並んでいたのは昔の話で、
店主の高齢化などで空き店舗が目立ってきた。
なんとかしないとと、空き店舗対策として3ヶ月限定で家賃を補助する
「チャレンジショップ」を募った。
すると、予想を大きく上回る14件の応募があり、
審査を経て5店舗が9月からオープンした。
チャレンジショップの内容は、9~11月までの3ヶ月間は家賃の半分を補助し、
期間終了後に本契約すれば、さらに3ヶ月の家賃が半額になる。
お店の改装についても最大20万円までをモトコー3番街が補助する。
神戸の元町ですら、こうした優遇制度を設けて活性化に努力している。
地方のシャッター通りと呼ばれる商店街もなんとか知恵を絞って欲しい。
http://motoko-3.com/
モトコー3番街
2015年10月2日金曜日
31.1メートルをひとっ飛び
なんの記録かと思ったら、なんとバッタが一回で飛んだ距離だった。
バッタそのものを見かけなくなったが、京都の城陽市では
子どもたちがバッタを捕まえて「バッタのオリンピック」を開催した。
イベントを企画したのは城陽市出身の河川レンジャー田中さんで、
木津川河川敷に生息するバッタの多様性を知ってもらおうと毎年開催。
京都府の絶滅危惧種に指定されているバッタをさがすことから始まり、
捕まえたバッタをスタート台に置くと、バッタはビュンとひとっ飛び。
最高記録はカワラバッタの31.1メートルという記録である。
なお、滞空時間を競う種目ではトノサマバッタのメスが24.5秒舞った。
自然の中を走りまわり、ふだんは気にもとめない昆虫たちの生態にふれ、
楽しいひとときを過ごす。
こうした遊びを通して環境のことを少しでも考えてくれれば、それでいい。
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20150924000050
バッタ五輪
2015年10月1日木曜日
昔ながらの地芝居
テレビや映画がない頃の娯楽といえば芝居だったり落語だったり、
いわゆるライブを楽しむというものであった。
秋祭りなどになると、○○一座みたいな芸人さんたちが神社の境内に
即席の舞台を作って国定忠治や清水の次郎長などを演じ喝采を浴びた。
そうした昔ながらの地芝居を楽しもうと、
島根県津和野町では3年に1度地元男性が演じる時代劇が上演されている。
過疎化の波は避けられないが、34才~70才まで9人のメンバーが稽古を重ね
戦前から受け継がれてきた「森の石松」を演じる。
劇の途中でマイクが壊れて音声が出なくなったり、幕が早く降りたり
ハプニングも続出するが、そこが地芝居のいいところ。
観客も終始にこやかに芝居に見入り秋の一夜を満喫した。
大衆の中で演じ、大衆と心をひとつにする。
そうした昔からあった地域の一体感や絆こそ、今見直されなければならない。
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=555130248
3年に一度のお楽しみ
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